なぜ「ワークライフバランス」が上手くいかないか
昨今は、女性起業家、企業、政府までワークライフバランスを重要施策として打ち出していますが、なかなか一筋縄にはいかないところだと思います。
「ワークライフバランス」が上手くいかない理由
1 ワークとライフをトレードオフの概念と定義してしまっているから
日本語にすると、「仕事」にたいして「余暇」というように、仕事というものに対して、ライフがそもそも「余り」という概念であり、仕事を減らして余暇を増やそう、という発想がこのワークライフバランスの根本概念にあります。
結果、施策としては、長時間労働を減らすBPR策や、理由をつけて休めるようにする育児休暇などの施策に終始します。
これでは、とても根本的なワークライフの問題を解決することにはなりません。
かつての「ゆとり教育」と同じような事態を招きかねません。
まず第1に、ワークとライフをトレードオフの関係として、バランスをとるというパラダイムを捨てるべきです。
2 「ワークライフバランス」が個人のためではなく、企業・政府側のためのプロモーション施策に成り下がっている
各企業、激しい人材獲得競争のなか、我が社はワークライフバランスをこんなにとっているというのが目下重要なアピールポイントになっています。そこには、世代論もあり、社会人1年目~5、6年目(28歳くらいまで)の生意気盛り、伸び盛りの人材が、もろ”ゆとり世代”(1987年~2004年生まれ)にはまってしまっています。
彼らの冷めきった会社への忠誠心をつなぎとめるために企業は必死というわけです。
そうすると、ますます彼らを甘やかすかのごとく「そんなにがんばって仕事しなくていいよ」社員からも「残業代はでるんですか?、それって有給ですか?」ってなゆとり化現象が一方ではじわじわと起きつつあります。
僕自身は、その一つ上の失われた世代の部類で、バブルが弾けたり、ネットバブルが盛んになったりはじけたり、就職氷河期なんて言われて、まあいろいろな波乱があった中、それでも団塊世代を親にもっていたから、黙って働くべし、成功すべし、未来は明るい、というマインドの人間が多く、コンサルティングや起業などのハードワークを進んで臨み、それらを賞賛する空気がありました。
そこからますます経済が低迷する中、疲弊していく人間たちからワークライフバランスをという声がでてきた側面もあるんだと思います。いつの時代も、頑張っている人間はそれなりにバランスをとっていたし、取れていなくてもそれ自体を問題視することにはならなかったのではないでしょうか。
「ワークライフバランス」が、弱者にとっての甘い誘い文句という位置付けになってしまっていないか?ということが危惧されることです。
本来、ワークライフバランスとはもっとポジティブに、人生を最大限謳歌するためものであるべきだと思います。
それは、決して企業のプロモーション活動ではなく、個々人の幸せの追求という視点に立脚するべきものであるはずです。
僕がこれから提言する、本当の意味でのワークライフバランスのあり方とは、
・バランスという概念から、ポートフォリオという概念へ
・トレードオフの概念から、マキシマイズするという概念へ
・企業における個人のワークライフから、個人軸にたったワークライフの設計へ
というパラダイム転換です。
つづく・・・