都市は川下であり、地方は川上である『グローバル化の終わり、ローカルからのはじまり』吉澤保幸著より

そもそも、今までの地方再生のやり方は、国が予算を決めて、都道府県に落として、市町村はその枠組みの中でやる。お金があるから、なにかやらなければと、箱をつくる。ランニングで四苦八苦、という典型パターン。

安倍政権が地方創生に本腰をといって取り組んでいますが、同じ轍を踏まないようにしなければですね。

 

今日はこの本のご紹介です。

グローバル化の終わり、ローカルからのはじまり

 

これまでのお金の流れというのは、地方の預金は年の大企業に投資され、企業は国債かドル債や外国株式へ投資する。結果、地域金融機関の貸与率は3、4割にになるところもでてきた。地方のお金はグローバル資本主義=アメリカを支えるために使われてきたのです。

 

 

そこで、本書の著者であり場所文化フォーラムの吉澤さんは

ローカルを川上=「いのちの原点」=「暖かいお金」と位置付けている。これが非常に納得で、素晴らしい視点です。

 

お金には二種類あり、「パン屋でパンを買うお金」と「お金がお金を生む複利のお金」の二種類ある。

 

 

と言います。後者としてのお金のあり方の歴史は浅く、お金は本来的には前者のものであるはずです。

 

経営論的には、川上を押さえるべしです。このコンセプトはその理にもかなっているのです。

川上のビジネスーコミュニティビジネスやソーシャルビジネスの確かなビジネスモデルをつくる。

国の補助金ではなく、川下(都市)に投資させてローカル事業を成功させる、そうやって川下の消費者が

投資=川上である地方に積極的に関わっていく、すなわち生産プロセスに入り込んで協業していくことで

お金に暖かい血が流れていく、ということも実現できるということだと僕は理解しました。

 

資本主義そのものを否定しても、お金自体を否定しても、僕たちはその枠組みの中で暮らさざるを得ません。著者は、その中でオルタナティブな金融コンセプトを提言して実行しておられます。

 

投資家はお金を短期的リターンのためでなく、長期にわたって価値を生む実物財・自然資源などに投資し、そのリターンはお金ではなく(長期単利か無利子)、「現物」などで報酬に変える。

 

というものです。

 

しかし、著書の中で紹介されていた『利子ともインフレとも無縁な貨幣』の中で面白い表現がありました。

 

成長を縦軸、時間を横軸にとったとき、

A.立ち上がり以降は平行に近づいていく漸近線、 B.単利的な斜め一直線、C.二次曲線て的複利の曲線、この3つをあげて

Aは、まさに自然界の曲線であり、Cは、金融の曲線であるが、それはがん細胞の成長曲線と同じである、と。

これはとても秀逸な表現ですね。

 

しかも、この著書がドイツの建築家(マルグリットケネティ)というのがまた面白い。読んでみようっと。

 

ビジネス、ファイナンス、デザインこの3つのオルタナティブ(次世代型)の掛け算が、新しいローカルの未来。きっと、面白い世界になるはずです。

 

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