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クライアントは家族だ

昨日は、七里ヶ浜商店会の週次ミーティングに参加、その後、建築家であり親友である光嶋裕介にあって、最後は、前職の上司にお寿司とマジックバーをご馳走になりました。

 

裕介との話は、彼のやっている合気道と僕の波乗りの相似性や、フランツ人のピケティに経済のことを教えてもらっているのはおかしいだとか、マイクロビジネス&ローカルコミュニティの推進を踏まえた建築のこれからの可能性だとか、多岐にわたっていろいろな意見交換ができました。

 

話の中で、彼が言った「クライアントは家族だ」という言葉がとても印象的でした。彼は、僕の計画で七里の青空空間の設計後、内田樹先生に偶然にも見初められ、稽古場兼自宅「凱風館」を手がけ、 瞬く間にメディアに取り上げられるようになったわけだけども、そんな彼は内田先生の愛弟子と結婚して今もなおまさに家族のようにおつきあいさせてもらっているようです。

 

経営論的に、「従業員は家族」という時代が日本にはあったけれども「クライアントは家族」というコンセプトは果たしてあったでしょうか。

 

確かにありました。町の商店街です。

 

僕が、東京を逃れ、七里ヶ浜に引っ越してきて、なんでこんなに毎日幸せなんだろうと自己分析していたときに、ふと心に浮かんだのが、肉屋の柴田さんとの何気ない会話でした。

 

肉屋の柴田は、七里ヶ浜の歴史そのものであり、まだ野原だったころからあのカレーの珊瑚礁さんと共に歩んできました。

 

僕と妻は、いつも、もっと近いところにある安い肉を売っている西友ではなく、柴田さんのところで買っていました。

 

「へい、いらっしゃーい。今日は世界一の肉と日本一の肉のどっちにする?」

「うーん、今日は日本一にしとこうかなあ、笑」

 

すると、奥さんもでてきて

「このお肉はこうして調理するといいわよ」

「わかりました、やってみます!」と妻。

 

「はい、じゃあ20グラムおまけ〜。またどうぞー。よろしく〜!」

 

なんてことはない会話でした。

だけど、この感覚がどうしようもないくらい、僕の幸福感に大きく作用しているのでした。

たったこのことだけでも僕は七里ヶ浜にひっこしてきて本当によかったな、って心から思えていたのです。

 

そんな柴田さんが、去年、亡くなってしまいました。

僕たち夫婦はお葬式にも参列しました。

 

もう柴田さんのあのしゃがれた声が聞けないというのは、本当に本当に悲しいことでした。

 

「クライアントは家族」という裕介の言葉で思いました。今思うと、あれは家族みたいなものだったんだな。だからあんなに満たされていたんだなと、理解できました。

 

消費が美徳となった資本主義社会では、お金がものをいい、交換可能性からくる匿名性と合理性の誇張が行きつく所まできてしまいました。

 

僕は、柴田さんと交換不可能であり、消費もされないやりとりをし、なおかつ合理的でない金額のお肉に満足していたのです。

 

これは単なる懐古主義ではありません。「クライアントは家族」というコンセプトは、経済ゼロ成長自体における重要な経営コンセプトに足るものでしょう。

 

それこそが、循環型経済と豊かなライフスタイルと幸福論における一つのキーになると確信します。

 

 

 

 

 

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