ワークライフバランスからワークライフポートフォリオへ(理論編Ⅰ)
前回のおさらいです。
「ワークライフバランス」がうまくいかない理由として
・ワークとライフをトレードオフの概念と定義してしまっているから
・「ワークライフバランス」が個人のためではなく、企業・政府側のためのプロモーション施策に成り下がっている
これからは、以下のパラダイム転換が必要
・バランスという概念から、ポートフォリオという概念へ
・トレードオフの概念から、マキシマイズするという概念へ
・企業における個人のワークライフから、個人軸にたったワークライフの設計へ
と書きました。今回はその続きです。
ワークライフポートフォリオとは何か?
この場合の「ポートフォリオ」とはデザイナーにとっての作品集のことではなく、「ワークライフでやりたいことの組み合わせ・構成のこと」を指しています。経営において事業や製品の投資配分を使うときによく使うものを個人に応用したものになります。
具体的に説明します。
まず、縦軸と横軸の4象限をつくります。
縦軸 Profitable - Nonprofitable
横軸 Social - Individual
そうすると図のようになります。
第1象限 Social Business(社会的事業)
第2象限 Making Money(金稼ぎ)
第3象限 Self Interest(興味・関心)
第4象限 Social Contribution(社会貢献)
ワークライフにおいて、個人が実現したいことはおおよそこの4つのどこかに分類されるはずです。まず、自分の関心事項がどのようにマッピングされるか、可視化してみることがとても重要です。
自分は社会貢献がやりたいんだ!という人がいるとします。本当にそれだけですか?他に欲望はないですか?
よく考えたらやっぱりお金を稼ぐことも大事だ、ということもあると思うんですね。自分の内面と向き合って洗いざらい自分の内なる欲望をだしておくことが大事です。
ワークライフバランスの多くの問題は、自己の欲求を現状への不満、何らかのマス情報の影響や固定観念から私はこれだ!と思い込んでしまってそれに固執してしまうことにあります。私はヒルズ族みたいに金持ちになりたい、私は趣味を仕事にしたい、私がやりたいことは社会貢献だったんだ、と。
でも、大抵人の欲はもっと深くて、1~4のどれもやりたいはずなんです。(4象限毎の優先度に個人差はあれど)そのことを始めから無視してしまうことから不幸は始まります。
お金をたくさん稼いだが不毛な人生だった、やっぱり趣味を仕事しちゃいけなかったんだ、いくら社会貢献してもお金がないとやっぱりきつい・・・というオチです。
この4象限に人生でやりたいことをマッピングしきって、文字通りポートフォリオを組むことがとても重要です。
この4象限はそれぞれの領域が影響しあうので、優先順位をうまく組み立てることで、好循環が生まれるのです。
つまり、限られた時間とスキルを有効に使って戦略的に4象限の充実を最大化することこそが、まさにワークライフバランスからの脱却としてのワークライフポートフォリオの考え方です。ワークライフバランスから、ワークライフマキシマイズへの転換です。
まず今すぐ自分のやりたいことを4象限にマッピングしてみてください。こんなにアンバランスだったか?この領域もっとやりたいことあったなあ、などなど、様々な気づきがあると思います。
では、次回は4象限がそれぞれどのように影響しあうのか、それをどう戦略的に活かすかについて説明します。