ポスト資本主義時代の幕開け(1/2)

いよいよ本題です。

 

なぜ今、歴史的な転換期なのか?

日本国内外で様々な人が様々な言い方でいっておられますが、僕なりの感性で捉えた変革ポイントについて考えていきたいと思います。全てを把握し、論拠を示すことは膨大かつ不可能に近い作業になるので、第1回目としてある程度の仮説とフレーム整理に留めておき、今後仲間たちとともにより深めていければと思っています。(このテーマ自体、人生かけて追いかけていくことになるので)

 

今回は背景についていくつかまとめています。

▶︎ 資本増殖のネタとなる辺境の限界と迫り来る”Disruption"の波

▶︎ 経済成長指標と豊かさの明白な乖離

▶︎ 食の低コスト化と贅沢の代償

▶︎ 地球は2個必要に

 

資本増殖のネタとなる辺境の限界と迫り来る”Disruption"の波

このテーマは様々な学者様たちにその詳細は譲るとしたいですが、僕の理解では、「資本主義社会とは、新自由主義思想の元、規制を可能な限り排除し(従って必然的に国境を越えたグローバル経済に発展してきた)自由競争による市場原理を元に、資本を使って利益を生み出す営み」と捉えています。簡単に言えば、経済的成長を第一目標とし、飽くなき成長ネタを探しまくる行為と言えます。これが、我々の生活を支えている大企業を存続させる根幹になっています。

 

・僕自身、コンサルタントとしてやってきたことというのは、グローバル経済の一歩先にある成長ネタを探し、コンセプト化、オファリング化して、各企業に戦略として次々とインストールし・実行支援して成長させることでした。

市場と労働力を西欧から新興国へと移させ、未来資源から搾取させ、既存産業を駆逐させ・・・これは行き着くところがないわけです。もちろん、環境ビジネスだとか、デジタル化だとか、上記のような課題を解決するかのごとく、また新たな成長コンセプトを打ち上げてはいます。

 

・ しかし、直感的に限界はあるのは明らかですし、それ以上に深刻な限界は”Disruption”(創造的破壊) というジレンマです。この先、デジタルによる効率化が加速的進めば進むほど、”普通の企業”や”普通の労働者”は不要になって確実に”余剰人員”がますます生まれてきます。新しい新興産業は既存産業を次々と駆逐していくでしょう。それによって消費者はさらに素晴らしい製品やサービスを低コストで享受できるようになるでしょう。・・・しかし、それを支えている労働者側はどうなっていくでしょうか。そういう産業をますます少数精鋭化が進んでいく超スーパーエリートが担いますが・・・他の人たちは何をして飯を食っていくのでしょうか?つまり、これまでの全員で成長しよう、というモデルでの仕事・生活満足は実現不可能な時代になっていくのです。消費者=労働者なわけですが、これからの社会においては、まず暴走する消費者の欲望を止めない限り労働者に未来はないのではと思うのです。

 

経済成長指標と豊かさの明白な乖離

・政治・経済が第1のKPIとしてきたGDPと人々の豊かさとの乖離が顕著になってきたことです。いろいろな研究結果がありますが、一つの例として、国民年収平均が$20,000(約230万)を超えると財産と生活の満足度の相関関係は無くなる。現に、アメリカの幸福度は、1955年から横ばいかやや低下しているくらいです。日本でも、内閣府が出している生活白書で、「明確に所得の上昇は幸福度に結びついていない」と87年から1人あたりGDPが上がり続ける一方、生活満足度が下がり続けている綺麗な反比例を描くファクトをつけて断言しています。アベノミクスは誰のため?

 

・そもそもGDPは環境を破壊しても、犯罪が増えても、離婚が増えても増加する指標なので偏重して相関しないのは当たり前なのですが。代替指標づくりに向けた動きも活発になってきています。ブータン国民総幸福量(GNH)は有名ですが、それ以降も、国民総幸福量(GNH)よりよい暮らし指標、包括的豊かさ指標(IWI)、人間開発指標(HDI)、グリーンGDPなど様々な取り組みがあります。

 

食の低コスト化と贅沢の代償

 ・愕然とする事実は、食料分配の世界的不均衡です。 日本人は年間 5500万トンの食糧を輸入しながら、1800万トンも捨てています。廃棄率では世界一の消費大国アメリカを上回っています。さらに、日本の食品廃棄の実に半分以上にあたる1000万トンが家庭から捨てられているのです。この廃棄している1000万トンは、途上国の5000万人に匹敵するといいます。飢餓が原因で1日に4~5万人(1年間に1500万人以上)の人(七割が子供)が亡くなっています。僕たちの食事を見直すだけでどれだけの人たちを救えるのでしょうか?

 

・一人当たり食料供給量では、日本では必要なカロリーより 31%多い。必要カロリー以上食べているのは世界の2割で、その2割が世界の半分以上を消費しているのです。

ちなみに、牛肉1キロ作るために穀物11キロ、豚肉1キロ作るために穀物7キロ、鶏肉1キロ作るために穀物4キロを消費するという構造です。贅沢な食事をするために余分な穀物が消費されます。

ネットワーク地球村より引用)

 

・さらに、経済成長の追求で食料は安くて味の良いものが簡単に手に入るようになりましたが、その裏事情も次第に明らかになってきました。コストと味の追求の結果、僕たちは甘味料、化学調味料など 体に有害でも知らず知らず混入を許容しているのでした。また、動物の虐待とも言えるような環境下での飼育によって大量供給を可能にしているケースもネットなどで取り上げられやすくなってきました。マクドナルドの一件はほんの一例にすぎないでしょう。

 

このような事態に気づき始めている人たちは日に日に増えています。必要以上の贅沢はいらないのでは?あるいは、僕たちの食べている食べ物はどのように作られているのかもっと知るべきでは?真っ当に作られたものに必要な対価を払うべきでは?生産と消費がもっと近づくべきでは、第1次産業とその発展てしての第6次産業の動きが活発になりつつあります。

 

地球は2個必要になる

WWFは「エコロジカルフットプリント」(森林、海洋、農場といった、現在人類が消費している物を生み出すために必要な、生産性のある「土地」を架空の面積に置き換えたもの)を元に、現在の人類による消費の大きさを計算すると、地球1個分の生産量に対して、1.5個分の利用していると言っています。資源を0.5個分は先食いをしている。2030年には2個分らしいです。

 

・そもそも、環境破壊しながら成長しようとする営みは、資産(BS)を切り売りして利益を稼ごうとしている(PL)、まさに教科書的には、本来的にはやってはいけない経営手法です。こんなことに世界中の学者さんたちが気づかないわけがありませんね。

 

今日は、この辺で。続く。

 

Copyright © 2015 u1style.jp All Rights reserved